2014年3月10日月曜日

この道であってる?3



さて、わたしたちは
Devil’s Backboneを通り、さらに頂上をめざして登って行きました。周りの木々や植物にはたくさんの雪が吹き付けて凍っていて、なんとも不思議な光景が広がっていました。Lisaが「うわぁー!カリフラワーの木だ!」と言うので見てみると、雪でデコレーションされたこんな木がありました。
想像を超えた雪の量とアドベンチャーに、わたしの中ではわくわくした気分と、果たして自分の体力はもつのだろうか、という不安な気持ちが混ざっていました。

 Lisa Camrieは、頻繁にハイキングや登山にいく人たちだったので、とても速いペースでぐんぐんと雪山を登って行きました。わたしはもう、一歩一歩自分で足をひきずっていかないと進めないほどでしたので、一番後ろで短い休憩をちょこちょことりながら歩いていました。するとCamrieが「春香どうしてるー?大丈夫―??」と、たまに振り向いて声をかけてくれました。わたしは「もうあきらめたいー!」と言いたいところでしたが、そういう選択肢はないと分かっていたので、「今そこにいくよ~」と自分に言い聞かせるかのように返事をしました。

 だんだん霧も濃くなって、積もった雪が風で巻き上げられていました。わたしは、「そういえば、雪山で登山するのは危ないって聞いたことあったな。なのになんで今自分は雪山を登っているんだろう」などと考え始めました。ですが、今そういうことを考えても意味がないと分かったので、「登りはじめたんだからもう後戻りはできない、最後まで頑張ろう!」と決心しました。そんな決心も数秒の効果しかなく、すぐに、あきらめたい別の自分がでてきました。まさに心のなかにいる二人の自分の戦いでした。一人は「ここで立ち止まって、あきらめて好きなだけ休憩してしまえ」、もう一人は「ここで長く立ち止まると疲れで動けなくなってしまうかもしれないから、一歩ずつでも進んでいこう」と言っていました。わたしは「神様、力を与えてください」と何度もお祈りしました。それと同時に「もうだめだ」とか「ここでもしわたしたち3人のうちの誰かが倒れたら、どうやって山を下りるんだろう」という考えも頭の中を飛び交っていました。そんななかでLisaは、「一歩ずつでも進んでいけばいつかはたどり着くよ」と言ってくれました。その言葉を励みに登っていき、わたしたちはついに頂上にたどり着きました


 頂上にはわたしたち3人のほかに、7人ほどのグループが休憩をとっていました。頂上から景色を見渡すと、わたしたちは雲の上にいました。とても寒かったので、写真を撮ってすぐに下山することにしました。手は寒さで感覚を失い、わたしたちもかなり疲れてきていたので、できるだけ早く下りようということになりました。来た道とは違う道を通れば、ループのようになっていてもとの駐車場に戻れるはずだと知っていたわたしたちは、念のため、この道であっているかどうか頂上にいた人たちに確かめました。ぱっと振り向くと、すでにCamrieLisaは走って山を下り始めていたので、わたしも慌てて走って彼女たちについていきました。どこからそんな体力が出てくるのだろうと思いながらついて行くと、突然彼女たちが止まったので「どうしたの?」と聞きました。すると彼女たちは、「道が消えた!」と言いました。「また迷ってしまったー!今日何回目だろう」と、わたしたちはもう一回頂上に戻って、この道で本当にあっているのか確かめることにしました。再び頂上へ戻り、そこにいた人たちに「この道であっているんですよね?」と聞くと「そうだよ」と言われたので、この道でいいのだという確信を得てまた走って下って行きました。
 道はすっかり雪で覆われていました。本当にここは道なのだろうかというところを何箇所か通り、しばらく下っていったのですが、やはりわたしたちは何かおかしいことに気がつきました。もとに来た道とは違うと言っても、今進んでいる道がまったく反対方向に突き進んでいて、ループになっているとはとても思えなかったのです。わたしたちは立ち止まり、どうしようかと相談しました。わたしたちには3つの選択肢がありました。まず一つ目は、このままこの道をどこに行くか分からないけれど下り続ける。二つ目は、来た道を戻って再び頂上へ行き、そこから来た道を引き返す。三つ目は、山を横切って道なき道を行き、ショートカットして元の道へ戻れることを願う。どれもあまり望ましい選択肢ではなかったので、わたしたち3人はしばらく黙っていました。Camrieが「みんなお祈りしようよ」と言ったので、わたしたちは神様にこうお祈りしました。「神様、わたしたちは今どうやってこの山から下りたらいいか分かりません。わたしたちを導いて、暖かい所へたどりつけるようにしてください。」
 お祈りしたあと、わたしたちはまた相談しました。Lisaは「頂上は寒すぎたからもう戻りたくない。」と言い、また山の間を横切るのは迷ったら危ないからやめておこう、ということになりました。もしこのままこの道を下って山を下りさえすれば、確実にもとの駐車場には戻らないだろうけど、とりあえず助けは求められるだろう、ということで、わたしたちは今進んでいた道を続けて進むことにしました。わたしたちはそれぞれしばらく黙って山を下りていました。どこへ行っているのかもわからずに歩いていたからです。しばらく下っていくとだんだん雪の量が減っていき、暖かくなってきました。途中でLisaのお母さんに電話がつながったので状況を説明すると、Lisaのお母さんはインターネットでMt.Baldyの地図を見て、どの道をわたしたちが歩いているのか調べてくれました。しかし、Devil’s Backboneとわたしたちが本来くだるべきだった道以外に道はないと言われました。「山のレンジャーに助けを求めたほうがいいんじゃないの?」と言われましたが、わたしたちは3人ともまだ歩けていたし、日が暮れるまで最低4時間はあり、どこに行くかはわからないけれども一応道を歩いていたので「大丈夫だよ」と言いました。
 Lisaのお母さんにわたしたちの状況を伝えられて、すこし緊張がほぐれたわたしたちは、またしゃべりはじめました。「まったく変な日だ!こんなアドベンチャーは予定外だったね。」Lisaが「今日の経験にタイトルをつけるとしたら何?」と聞いてきたので考えていると、Camrieが「今日一日中わたしたちが自分たちに聞き返した質問は『この道であってる?』」だったと思う」と言いました。それを聞いたわたしたちは笑い始めました。なぜなら、その質問の答えはいつも「No!」で、わたしたちが選んだ道はとことん間違っていたからです。「この経験を振り返った時には、なにかよい思い出が出来上がってるはずだよ」と言って、わたしたちは歩き続けました。

 この経験の最中、わたしに個人的に問いかけてきた質問は「今遭難して死ぬことになったらなにか後悔するだろうか」ということでした。そこで浮かび上がったのは、「自分と神様の関係はどうだろう?」「もうちょっと家族と話をしておけばよかった」「家にもう一度帰りたい」というようなことで、「あの宿題を終わらせておけばよかった」とか「勉強会に行けなかった」などという後悔は全く頭に浮かんできませんでした。そんななかで、いかにわたしの日常生活が、わたしにとって本当に大切なものよりも、やらなければいけない課題やテスト勉強などに時間を奪われていたかということに気が付きました。もしかして死ぬかもしれないと思ったときに、もっと勉強しておけばよかったとは思わないのです。むしろ、今死んだら天国にいけないかもしれない、なにか告白していない罪があったかな、などそういうことを心配しました。なぜわたしたちはそのように日々考えないのでしょうか?生きられるのが当たり前のように感じ、明日も必ずくるとどこかでわたしは思ってしまいます。しかし本当はそうではないのです。わたしたちは限られた時間を生きているのです。イエス様の再臨は近いのです。毎日わたしたちは、神様を選ぶか悪魔を選ぶか、どちらかの選択をとっているのです。そしてその選択がわたしたちの習慣となり、人格を決めていくのです。

 今日、神様は「わたしにつながっていなさい。」とわたしたちに呼びかけておられます。「わたしにつながっていなさい。わたしもあなたにつながっている。ぶどうの枝が、木につながっていなければ、自分では実を結ぶことができないように、あなたがたも、わたしにつながっていなければ、実を結ぶことができない。」ヨハネによる福音書15:4 神様にお祈りして聖霊を受け入れましょう。そして、神様がわたしたちの人生に関わってくださり、わたしたちが聖霊の実を結ぶことができるようにお願いしましょう。


続く




著者:森春香
編集者:山地悟

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