2012年5月7日月曜日

ダニエル書7章-前半

ダニエル書7章-前半

 これから7章前半を解説するのですが、まずはダニエル書2章を思いだしてください。7章では、2章と同じ事がもっと詳しく説明されているからです。また、ダニエル書の予言の全体の流れを知りたいのでしたら、「ダニエル書2300の予言図表」という記事が「ダニエル書」のラベルの下にあるので読んでみてください。7章から12章までは情報量がとても多いため、本来ならそれだけで本を何冊も書けてしまいます。しかし今回はそれを、手短に分かりやすく説明していきます。ですからこの記事を読んだ後にご自分で、ダニエル書の予言を友達、家族、牧師や先生たちと一緒にゆっくり勉強してください。

さて、ダニエル書2章と7章はどう違うのでしょうか?どちらも4つの王国について書かれています。2章では、大まかな歴史の流れと神様が地球で天国を設立する事に焦点が当てられていました。しかし7章では、4つ目の王国と神様が地球に来られる前に起こる裁判に焦点が当てられています。ですから、7章の主点は4つ目の王国と終わりの時の裁判です。2章と7章で書かれている事を比べ合わせる事で、バビロン王国から天国までの流れをもっとはっきりと理解する事ができます。それではまず、7章全体を簡単に説明したいと思います。

7章に出てくる四つの獣とは何でしょうか?聖書によりますと、獣は王様、あるいは王国を意味しています。

この四つの大きな獣は、地に起らんとする四人の王である』。
ダニエル書7章17節

彼はこう言った、『第四の獣は地上の第四の国である。これはすべての国と異なって、全世界を併合し、これを踏みつけ、かつ打ち砕く』。
ダニエル書7章23節

それでは、一つ一つの獣がどの王国で何を意味するのか説明します。

第一の獣

“第一のものは、ししのようで、わしの翼をもっていたが、わたしが見ていると、その翼は抜きとられ、また地から起されて、人のように二本の足で立たせられ、かつ人の心が与えられた。”
ダニエル書7章4節

第一の獣はダニエル書2章で見た黄金の頭、つまりバビロンを指しています。面白い事にわしの翼やライオンというのは、ダニエル書以外でもバビロンを表すために使われています(エレミヤ書4章7節、エレミヤ書50章17,44節、エゼキエル書17章3,12節)。そして聖書の中だけではなく、発掘されたバビロンの壁の絵や芸術品を見てみると、翼を持ったライオンが描かれているのを見る事ができます。
 わしの翼が抜き取られるというのは、力と栄えが取り去られることを意味します。ネブカデネザル王の時代のバビロンは黄金時代と言われて栄えていましたが、ネブカデネザル王の後のバビロンは弱くなっていきました。そして、ライオンから人のようになるというのも、ライオンのように凄まじく強い王国から、人間のように弱い王国になることを表しています。

第二の獣

“見よ、第二の獣は熊のようであった。これはそのからだの一方をあげ、その口の歯の間に、三本の肋骨をくわえていたが、これに向かって『起きあがって、多くの肉を食らえ』と言う声があった。”
ダニエル書7章5節

ダニエル書5章に書かれているように、バビロンの次はメデアとペルシャ王国だと分かります。ですから、ライオン(バビロン)の次に来る熊はメデアとペルシャを意味します。熊の口の歯の間にある三本の肋骨は、メデアとペルシャが倒した三つの王国をのことを言っています。その三つの王国はバビロン、エジプト、リディアです。そして体の一方が上がっているのは、メデアとペルシャの中でもペルシャの方が力を持っていた事を表しています。

第三の獣

“その後わたしが見たのは、ひょうのような獣で、その背には鳥の翼が四つあった。またこの獣には四つの頭があり、主権が与えられた。”
ダニエル書7章6節

ダニエル書二章で説明したように、メデアとペルシャの次はギリシャです。そしてダニエル書8章21節にはっきりと、メデアとペルシャの次はギリシャと書いてあります。ですから、熊(メデアとペルシャ)の次に来るひょうはギリシャです。
 ギリシャの王、アレキサンダー大王は凄まじい速さで他の国々を征服していきました。大王は25歳(331B.C.)という若さでメデアとペルシャを征服しました。しかしそのような活躍をしていながらも、彼はかなり呆気ない死に方をしました。アレキサンダー大王は33歳(323B.C.)のときに酒の飲みすぎでひどい熱をだし、病気で死んでしまったのです。大王が死んだ後の王国は、四人の大将たち(セレウコス、プトレマイオス、カッサンダー、リサメイカス)に引き継がれました。
 ギリシャについては、ダニエル書8章の記事でもっと詳しく解説します。

第四の獣

その後わたしが夜の幻のうちに見た第四の獣は、恐ろしい、ものすごい、非常に強いもので、大きな鉄の歯があり、食らい、かつ、かみ砕いて、その残りを足で踏みつけた。これは、その前に出たすべての獣と違って、十の角を持っていた。わたしが、その角を注意して見ていると、その中に、また一つの小さい角が出てきたが、この小さい角のために、さきの角のうち三つがその根から抜け落ちた。見よ、この小さい角には、人の目のような目があり、また大きな事を語る口があった。”
ダニエル書7章7,8節

 この四つ目の獣はローマを示しています。ダニエル書二章でローマは「鉄の足」、ここでは「大きな鉄の歯」とありますね。実際にローマは鉄のように強い国として知られていました。それでは、「十の角」は何を表しているのでしょうか?

“十の角はこの国から起る十人の王である。その後にまたひとりの王が起る。彼は先の者と異なり、かつ、その三人の王を倒す。”
ダニエル書7章24節

「十の角」は24節に書かれている通り、「十人の王」、あるいは王国を意味しています。

1.Visigoths ビシゴス(スペイン)
2.Anglo-Saxons -アングロサクソンス(イングランド)
3.Franks -フランクス(フランス)
4.Alemani -アレマニ(ドイツ)
5.Burgundians -ブルガンデアンス(スイス)
6.Lombards -ラムバドス(イタリア)
7.Suevi -スエビ(ポルトガル)
8.Heruli -ヘルリー
9.Ostrogoths -東ゴート
10. Vandals -バンダル

小さい角」は「十の角」の中から三つの角を根から抜き取りました。「小さい角」は法王権(ローマ・カトリックのシステム)を表しています。小さい角、つまり法王権が現れたときに、十の国の内の三つが倒されたという事です。現に、ヘルリー、東ゴート、バンダルの三つは法王権によって潰されました。他の7つの国はおとなしく法王権に従ったので名前は変わったものの、今でも国として生き残っています。

1.わしの翼を持ったしし-バビロン (605-539BC
2.熊-メデアとペルシャ (539-331BC
3.ひょうのような獣-ギリシャ (331-168BC
4.第四の獣-ローマ (168BC -476AD
-法王権 (476AD- 神の王国が来るまで)

はじめの三つの獣たちは割りと大雑把に、一節ずつのみで説明されているのに、四つ目の獣はかなり詳しく説明されていることにあなたは気づきましたか?7章のはじめの6節は三つの獣についてですが、7章7節から7章28節までは四つ目の獣の事が書かれています。要するに、神様はそれほど私たちに四つ目の獣について知ってほしいのです。2章でも分かったように、ギリシャの次に来る王国はローマです。なぜ四つ目の獣がローマなのか、そして四つ目の獣が私たちにどのような関係があるのかを次回説明したいと思います。
それまで共に、元気に、キリストを見つめながら人生がんばりましょう。

作者:福田ダニエル
編集者:品末拓真
05/07/2012

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